2022年春アニメ感想記事

今回感想書いてて思ったんですけど、自分は加点方式の考え方がかなり強いので、何かしら際立って面白い要素があれば多少の粗は気にならず評価が高いです。

そんな訳で今期は何か1つ尖った強みがある作品が多めなシーズンで、個人的にはかぐや様、まぞく、モブせかの三作品が特に印象に残っています。

 

1話で切ろうとした作品が後々化けるパターンも多く、切るに切れなくて23作品という、視聴数が今まででぶっちぎりで多いシーズンで大変でした。

まあそれだけ豊作だったということなんで春アニメはかなり面白かったです。

 

 

いつもの評価基準

A:特に面白く具体的にオススメできるポイントがあるもの
B:2期があれば観る
C:個人的には悪くない
D:微妙
S:比較が難しい

 

※今回モブせかだけ感想書くの難しくて本編とおまけに分かれています。

あと今回はネタバレ寄りのこともちょいちょい書いているのでご了承ください。

 

 

Sかぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」

最後はラブコメとして、全力疾走で駆け抜けてくれたので僕は満足です。

 

文化祭編のクライマックスで会長とかぐや様、一対一でお互いの気持ちを伝えるシーンがラブコメ作品で一番好きなんですよね。

会長の思いの大きさを表したようなたくさんのハートが舞い上がるシーン。特にアニメで演出が映えるシーンだろうなと思っていたので、期待していた所にしっかりと力を入れて盛り上げてくれたのがとても良かったです。

 

告白のシーンで1期のEDが流れたあたりは、2人がここまで来るのに積み上げてきたものを再確認し、もう一段階盛り上げてくれるアニメならではの素晴らしい演出だったなと思います。

原作を持っていて展開自体は知っているのに、もう一度原作を読んだ時のような胸の熱くなるような気持ちにさせてもらえて、本当に良いアニメ化にしてくれたなと満足しました。

 

勿論真面目なシーンだけでなく、かぐや様と言えばコントみたいなギャグシーンが魅力ですから、特に見たかった話としては、好きなキャラクターの四条眞妃が本格的に登場したり、かぐや様がつばめ先輩からの相談を勘違いして、高速で手のひらを返すシーンは声優さんの演技がキレててとても良かったです。

ラップ回は早坂にとって大事な話でありつつ全力でふざけた要素も入ってくるので、あのエピソードでがっつりラップに力を入れてくれたのは嬉しかったですね。

最高に笑えて最高の物語も見せてくれる最高のアニメ化だったと思います。

 

S「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」

1話ゴミカスから這い上がって来た個人的に歴代屈指のダークホース。

乙女ゲームを舞台にした異世界という設定をしっかり活かし、この作品でしか成立しない魅了が光る良作だったと思います。

 

主人公の口の悪さがキレッキレなのが結構好きなんですよね。多分このクソゲーの世界観と凄く噛み合っていて、口の悪さが振り回され枠のツッコミとして面白かったところもありますし、理不尽な展開に対して、啖呵を切ったり煽るセリフのキレがそのままカッコ良さに繋がっていて良い主人公でした。

口が悪いのにそんなに嫌味にならず、なろう系にしてはそこまでイキっているイメージでは無かったので、主人公も痛い目を見たり作品全体でバランスを上手いこと調整されていたのも良かったです。

 

後半になるにつれ盛り上がっていった印象ですが、ヒロインのオリヴィアを軸にしたシナリオがとても良くできていて、主人公がどこまで行ってもゲームのキャラとして接していたためにヒロインとすれ違ってしまい、この作品でしか描けない非常に重くめんどくさい心理描写で個人的にかなり刺さりました。

ただその重さがあったからこそ、最後の最後ヒロインが吹っ切れて思いを伝えるシーンは、めちゃくちゃ熱い上に笑える痛快さもあって最高のシーンになったと思います。

 

1話は作画のクセが強く展開も大味で微妙でしたが、作画はすぐに慣れたのと要所で力を入れていて案外気にならなかったですし、細かい演出や構成がしっかりしていて見やすくアニメの良さも出ていたと思います。

もしかしたら原作がただ面白いだけの可能性もありますけどね。

 

※途中感想書いてて訳わからなくなったんで、その部分は全部最後の方に回しました。

 

S「まちカドまぞく 2丁目」

ファンタジー系の日常アニメとして、1期から続く因縁に深く踏み込み綺麗にまとめられていて、今期は日常コメディの良さに加えストーリーも面白かったです。

 

まちカドまぞくって日常系の割に設定自体は重めな要素がちょいちょいあって、それを感じさせないテンポ感と細かいギャグ要素を使い、上手いバランスになっているのが良いんですよね。多少シリアスなエピソードでも日常系の持ち味を殺さない構成がしっかりしてる気がします。

5話6話あたりの桃の姉が初登場するところや、桃がシャミ子の眷属に片足突っ込んでまで夢の中に助けに来る展開はなんとういかこう、くるものがあり、1期から積み上げてきた関係をしっかり活かして熱い展開に仕上げてきたのが素晴らしいですね。

 

問題はまだまだ山積みでここからのお話も面白そうですが、それぞれのキャラクターが一つ気持ちに区切りを付けて、これからも歩んでいく感じが綺麗にまとまっていて良かったです。6話ですけど。

会話のテンポ感や数々のお遊び、ネタ要素はキレッキレですが、まあまあ癖も強いんで好みが分かれる部分だとは思うんですけど、それらが生み出す独特な空気がよりキャラの可愛さを引き出しているんじゃないかなと、日常系でここしかないって魅力を確立している作品だと思います。

 

Sパリピ孔明

孔明と英子、2人の主人公が上手く噛み合い、奇抜さと正統派なストーリーを持ち合わせた面白い作品だったと思います。

最初は孔明パリピ?一発ネタか???と思いましたが、英子の歌手としての成長物語という話の軸となるものがしっかりしており、そこに孔明の策略によって、面白く魅せつつ説得力が増していたのが良かったです。

 

ラップ対決が特に印象的で、孔明のラップの奇抜さに笑えるけど、同時になんかわからんけど凄い戦いが繰り広げられてる…感が伝わってくる不思議な回でした

ラップ対決を経てKABEが仲間になり、いい話だなあと思ったら実は孔明が裏でめっちゃ根回ししてて、良い話風をぶち壊しながらも完璧に策略に嵌めた強かさを魅せてくる良いエピソードでしたね。

綺麗にまとめるだけでなく、そこからもう一歩踏み込んで来るのが非常に良い作品の証拠。

 

後半は英子の物語として、しっかり溜めて最終話に繋いでいて悪くなかったと思います。しかしちょっと難しいのが、この作品の強みはどこまで行っても主人公2人の化学反応だと思っているので、話として丁寧で良くできていても、どちらかが欠けてしまった段階で最大の強みが失われてしまうような感覚があった気がします。

別に悪いわけではないけど2人が揃っている時と比較すると、どうしても中弛みのように感じてしまう部分はあったかなといったところ。

とは言え最後の決戦はそれぞれが役割を果たし、クライマックスらしく盛り上がっていたので、総合的に見てストーリーもネタ要素も兼ね備えたいい作品でした。

 

Sサマータイムレンダ」

離島を舞台としたサスペンス物として、興味を惹きつける謎と先の気になる展開を常に提供し続けたクオリティの高い作品だと思います。

 

2クールの作品のため今期では完結しておらず、評価が難しい部分はありますが、毎話毎話しっかり気になる所で終わらせていて、ここまで要所要所で新しい展開を畳みかけダレた印象を一切持たせなかったのは高評価です

影という存在の謎を追求していく上で、一応タイムリープ物なんである程度のやり直しは効きますが、序盤の段階で影に主人公のタイムリープ能力がバレるなど、敵サイドが強すぎて緊迫感をキープしているのも良いですね。

正直タイムリープ能力があったら無敵だし話が成立しないんじゃないか?と思ってたんで上手いバランスに仕上がってるなと感心しました。

 

この手の作品は終わり方次第で評価が変動しやすいですが、今のところは文句無しの展開なので2クール目も期待しています。

 

SSPY×FAMILY」

シナリオや作画の良さ、要所要所のコメディとしての面白さなど、ひたすら総合力の高い作品でした。予算の暴力…


設定が特に面白く、逆にそれ以外はクセや尖った部分を丁寧に削ぎ落とし、良くも悪くも丸く丸く万人受けに寄せられた印象で、完成度という点に置いてはここまでの作品は中々無いんじゃないかと思います。

個人的には何かしら尖った部分があった方が好きだったりしますが、丸いからこその気軽に観て楽しめるわかりやすさが発揮されていましたし、偽りの家族が徐々に本当の家族になっていくような、しっかりとしたストーリーの良さも楽しめるいい作品だと思います。

 

S「阿波連さんははかれない」

シュールギャグに特化した日常系で、後半はラブコメとしても良くできていたなあと思って評価を上げました。

阿波連さんの淡々とシュールなボケをかますのが静かなキャラクター性と相性が良く、可愛いさと面白さを両方発揮していたのが好きでしたね。

対して主人公のライドウがツッコミ役で阿波連さんと対になる役回りかと思っていたら、まともなふりしてツッコミのつもりでボケ倒すような、実はコイツはコイツで変なキャラクターだったので、阿波連さんと組み合わせてツッコミ不在のボケて暴れ回れる素晴らしいコンビでした。

 

終盤はラブコメとしての面白さで魅せる緩急が良かったです。阿波連さんは声が小さいがために喋るのがあまり得意でなく、タイトル通り人との距離感を測るのが苦手なため、人間関係があまり上手くないタイプだとは思います。

そんな中で一緒に居てくれるライドウをどう思っているのか、感情が見えづらいために途中までわからない所がありましたが、それゆえに終盤好意が見え隠れするようになっても唐突さを感じず、それまでの2人を見ていると、いつの間にか自然に惹かれていったのかなと、なんとなく想像できるのがいい落とし所だったと感じました。

途中までラブコメを感じさせない日常系に寄せていて、そこからラブコメ要素への切り替えしは、意外と違和感が出てしまったりする部分かなと勝手に考えていたので、ここら辺のバランスが良かったです。

 

10話でラブコメとしての佳境を迎えて面白かったですし、敢えて結末を伏せて一度溜め、11話の日常回を見せるのも面白い演出でした。

2人の関係がどうなったかわからないまま最終話を迎え、阿波連さんの幼馴染の女の子である大城さんで決着を着けるのが、斜め上の展開でいい締め方だったと思います。

日常系要素だけでもレベルが高く、日常とラブコメのバランスが絶妙ないい作品でした。

 

S古見さんは、コミュ症です。

ひとりぼっちの〇〇生活もそうですけど、僕は主人公が頑張って友達を作る描写が好きなのかもしれない…ラブコメ要素もある青春コメディとして、アクの強いキャラと主人公の古見さんの可愛さが魅了的な作品。

 

今回珍しい作品だなと思ったところがあって、修学旅行をほぼ初登場のキャラクター2人と一緒に回るエピソードが印象的だったかなと思います。

普通修学力旅行みたいな大事なイベントって、それまでに登場し掘り下げてきたキャラを使いエピソードを面白くするパターンがほとんどだと思うので、いくら古見さんが友達を作るお話と言えど、結構攻めたことをするなあという印象でした。

 

実際修学旅行のエピソード内だけでほぼ初登場のキャラをしっかり立たせていて、旅行中ちょっとした失敗がありつつも、そこからお互いのことを知っていくことによってキャラを上手いこと掘り下げていました。まあその内の1人はなんか急にヨーヨーの世界チャンピオンみたいな設定が出てきて、キャラづけの癖つっよってなったりすることもありましたけどね。

この作品って、個性が強いというよりかはイロモノ系のキャラが多い印象なんですけど、ここら辺の掘り下げや魅せ方のバランスが良いからこそ成立しているのかもしれませんね。

 

ブコメとしても全体的に良かったのですが、特に修学旅行前に古見さんともう一人の主人公の只野君のエピソードが非常に刺さりました。

古見さんが中学時代の修学旅行について、辛いエピソードだったのを絞り出すように話してくれたシーンがとても印象的で、それに対する只野君の返答が優しさとカッコ良さに溢れていたのがまた良かったですね。

只野君は普段気の抜けた優しい奴って感じのキャラですが、決めるところで決めて、ラブコメ主人公としての格をしっかり持っていたと思います。ラブコメは男側の主人公の魅力もとても大事ですから。

青春コメディらしい勢いのある面白さとラブコメとしても評価の高い作品でした。

 

Sラブライブ! 虹ヶ咲2期」

ラブライブ!ガチアンチの私でも唸る作品。

1期のころから特定の大会で優勝するといった目標ではなく、自分達の道を歩き貫くスタイルなのがとても好きだったので、今期は新キャラが加入したり不安要素もありましたが、本質的な所はブレず、虹ヶ咲のスクールアイドルを魅せてくれたので、一貫していていい作品だなと思います。

 

キャラクターだと愛パイセンが好きなんですけど、ユニットを組むエピソードでパイセンなのに妹属性まで追加されて最強か???ってなったのが印象深いですね。

 

Aデート・ア・ライブⅣ」

デアラ観てるとやっぱ馬鹿馬鹿しいことを全力でやれるのって大事なんだなあと改めて実感します。

 

デアラは前期のストーリーを高く評価していましたが、今期はラストでラスボスっぽいキャラの正体が明らかになり、クッソ人気ヒールキャラの狂三が深掘りされるなど、物語が佳境に入り盛り上がってきたのがいいですね。

それに加え、この作品の強みって本筋の面白さに自然とおふざけ要素を盛り込める点だと思っていて、本筋が佳境でも相変わらずデート絡みの精霊をデレさせるパートはしっかりふざけているのが好きです。

具体的には、開幕のエピソードの2次元しか愛せない精霊の対策として、主人公をモチーフにした同人誌を作り、まず2次元の角度から好感度を高めようと総力で同人誌制作に取り組むなど、絶対この作品でないと有り得ないだろ・・・っていう展開に持って行ける独創性が素晴らしいですね。

 

ヒロインが多い作品ですけど今期登場した六喰がめちゃくちゃ可愛くて、ヤンデレとまではいかないですけど惚れた瞬間からデレッデレなのとてもいいですね。今期が今までで1番作画が良く、キャラクターの可愛さが際立ってたんじゃないかなと思います。

 

A「であいもん」

和菓子屋さんを舞台にした日常ドラマ。

最初は地味な印象でしたが、キャラが増えるごとにしっかりとドラマを作られていて、落ち着いた雰囲気がハマる作品でした。

 

人間関係の描き方が丁寧且つ、一人一人のキャラクターの造形がしっかりしているからドラマ性が非常に高かったのかなと思います。

特に女子高生と元カノが接触し、静かにバチバチな関係になっていくあたりのエピソードが好きで、人間関係や心理的な描写がリアルで面白かったです。全体的に落ち着いた雰囲気の中にいいアクセントになっていたかなと。

 

派手なことは一切せずともいつの間にかお話に引き込まれていて、確かな自力の高さが現れていた良作だと思います。

 

A「このヒーラーめんどくさい」

物量

クソつまらんと面白いが両立するまあまあ特殊な作品で評価が難しかったです。

 

クセの強い毒舌ヒロインといじられ主人公による軽快なコントが売りのギャグ作品。1話ゴミカスで切ろうかと思ってたんですが、途中からコントのテンポが良くなり気づけば笑わされることが多くなっていて驚きました。

正直ネタの5回に4回くらいは微妙ですが、その1回で思わずフフっと笑ってしまうことがあり、それをテンポの良さで何度も叩き込み、結果的に1話で笑う回数がまあまあ多いんですよね。最初にも書きましたがほんと物量。

 

ヒロインのカーラがまあクセが強く、バリエーション豊かに常に主人公をイジり続けるんですけどあまりに辛辣で笑っちゃうんですよね。

後半はそのクセの強さを逆に利用しちょっと可愛い部分を出して来るのがまたズルくて、最初はデレるイメージが全く湧かないキャラに仕立ててから、キャラのイメージを崩さない程度に可愛さを引き出すバランス感覚も絶妙だったなと思います。

 

冷静に考えて欲しいんですけど、成人男性が部屋で1人声を出して笑うって現象まあまあアレなのに、それを自覚して尚ちょっと声が漏れ出るって中々なんですよね。

悪い部分もありましたが幾度となくしっかり笑わせてくる作品は貴重と判断し、独自の強みをしっかりと確立したアニメとして高い評価です。

 

 

B「ヒーラーガール」

なんもわからん

作品の性能が尖りさくってて、Aすっ飛ばして評価をBSで迷ったんですけど自分の好みで決めました。

 

ミュージカル要素のある作品なんですけど、1話目が日常会話を歌で構成してくるというか、出てくるキャラが大体歌いながら会話に参加してきて、私この世界観について行けなそうだなあ、とか思って視聴継続するか悩んだんですよね。

個性だけはしっかりあったので継続していたら、歌で人を治療するヒーラーという架空の存在の造形が深く、ヒーラーを軸にした主人公達のサクセスストーリーとしてよく出来ていたと思います。

 

ただお医者さんと協力して難しい手術のサポートをする回があったんですけど、手術室の中に何故か簡易的なステージみたいなのが用意してあって、手術中に聖歌隊みたいな恰好した3人がそこで歌い始める絵面を見て、ふざけてるのか真面目なのか、シュール過ぎてよくわからなくなる時があったりと、まだちょっと人類には早いんじゃないかと思う部分もしばしばあったかなと思います。

 

B「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中」

古き良き勧善懲悪ものとしてわかりやすく良かったです。

なろう系ですけど主人公がひたすらに爽やかで、どっからどう見てもクズって感じの敵を成敗していくような王道な展開ががっちりハマっていたんじゃないかと思います。

なろう系って妙にネチネチした性格の主人公が多い中で、ここまで爽やかで嫌みの無い主人公は珍しい印象で、そのおかげでとても見やすい作品に仕上がっていたのが良いポイントかなと思います。

 

B盾の勇者の成り上がり Season 2」

この作品は謎をばら撒くのは上手いけど回収がビミョいのなんなんですかね。

好きな作品の続編で期待していたんですが、駆け足で雑な展開が目立ったのが少々残念でした。まあでも3期のために展開を急いだのかなと思って次に期待します。

 

B本好きの下剋上3期」

元々主人公のやりたいことがはっきりしている物語として安定した作品だったんですけど、今期はいつにも増して緊迫感があって良かったかなと思います。

異世界で本を作り普及させる」って言う主人公の目的を丁寧に描き、成り上がっていくのが魅力かとは思いますが、個人的にはその主題があんまり興味無かったので、今まではいい作品だけど自分にはハマらない作品という印象でした。

ただ今回はいつも以上に「家族」というテーマに重点を置かれ、主人公や周りの人間に危害が加わりそうになる緊迫感と相まって、最後の決断の重みが増していたかなと思います。

今回はわかりやすくテーマが刺さって面白かったです。

 

B「処刑少女の生きる道」

なろう系を逆手に取ったようなシリアスな世界観で面白ったです。特に前半のエピソードはどんでん返しがありつつ、敵の動機がシンプルで現実的な理由だったのも好きでした。

 

B「勇者、辞めます」

最初微妙でしたが、主人公のバックボーンの掘り下げある8話が会心の出来だったので評価を上げました。

本来敵であるエイブラッドさんが凄くいいキャラだったんですよね。主人公のことを本質的なところから理解し、生き方にほんの少し別の道を示してくれて、この物語の最も大事なところを伝えてくれていたような気がします。

 

C「可愛いだけじゃない式守さん」

式守さんのキャラは可愛かったと思いますが、話の展開が全部内輪で完結しているような感覚で、物語の広がりが薄く単調になってしまっていた印象でした。

一応後半は文化祭のエピソードや八満のキャラが面白かったり、いい部分も出てきたのですがちょっと惜しい作品だったかなと思います。

 

Cカッコウの許嫁」

コッテコテのラブコメであんま特筆すべき点も無いんですが、妹ちゃんが可愛いのと1クール目の後半にちょっとストーリーを捻ってきた感じがあるのでそんなに悪くないです。

 

D「魔法使い黎明期」

細かい設定だったり、話を捻ろうという部分は見受けられたのですが、ちょっとまとまりが悪く素材を活かしきれてない印象が強かったです。

 

D「史上最強の大魔王、村人Aに転生する」

作画は悪くなかったですけど途中のシナリオが微妙であまり引き込まれなかったですね。主人公の友人を作るために転生したっていう設定と1話の展開はそこそこだったのでそっちを軸に話が見たかったですね。

 

D「RPG不動産」

日常系とシリアス要素の噛み合いがちょっと悪かったかなって印象です。

最終話前に1話の中で何回も同じ展開を繰り返して、緊迫した空気を出そうとしてるのに茶番感の方が出てしまっていたかなと思います。

 

 

S「モブせか」Part2

↑こういうところの作画は凛々しさと可愛さが良い感じで好きですし、個人的には要所要所で力を入れてくれたのなら別にいいと思ってます。

 

(こっから感想の続き)

モブせかは3話の宣戦布告回から一気に引き込まれたなあと思っていて、ゲームでは悪役令嬢のポジションであったアンジェを助け、王子を含む5人の攻略対象。通称5バカへの啖呵を切ったシーンが、自分でも上手く説明できないんですけど、妙にカッコ良くて痛快に感じたんですよね。

アンジェは立場上悪役を押し付けられただけで悪い奴ではないんですよ。もう1人の転生者がゲームの世界をおかしくしたというのもありますが、このクソゲー寄りの乙女ゲームのシステム上、主役サイドと対立し孤立無援に追い込まれる可哀想なキャラだったと思います。

それに対し主人公のリオンもこの女性上位の世界で散々な目に合い、結局婚活も上手くいかず、このクソゲー自体にうんざりしていたのを3話かけてしっかり描写されていたので、なんというかゲームの理不尽さそのものに苦しめられているっていう点はアンジェと似ているんじゃないかなと思いました。特定のキャラというよりかは、このゲーム自体に対して反旗を翻している感じがしますね。

あらゆるものを敵に回そうがヒロインのために、このゲームの根幹となる主役サイドにバチバチにケンカを売るシチュエーションが刺さりましたし、えらっそうに正義ぶってる主役連中をキレッキレの煽りで返すリオンは痛快でカッコ良かったです。

あと単純に好きなんですよね。正義を振りかざす主役達にに立ち向かったり、1人の女の子のために、全部敵に回しても手を差し伸べる展開に私がとっても弱い。

 

この5バカも悪い奴らでは無いんですけど、元がゲームのキャラクターということで、どうしても性格が設定に引きずられて愚かな行動をすることがあったと思います。

しかし、あくまで乙女ゲームを舞台にしただけの異世界に生きる1人の人間ですから、アンジェがそうだったように元の設定から変わっていくこともあるし、実際5バカは改心するって訳では無いんですけど、それぞれが無力さを実感したり課題を見つけ、ちょっとずつ成長する兆しを後半見せてくれたので、敵であっても憎めないような絶妙なバランス感覚でキャラを引きたたせるのが良いですね。

 

後半はオリヴィアがリオンとアンジェと身分の差からすれ違ってしまう心理描写がとても光っていました。

↑のシーンの曇り顔とか完璧ですよ。

 

オリヴィアとリオンの気持ちがどっちもわかるんですよね。オリヴィア視点だと何故リオンがこんなに過保護に優しくしてくれるのかわかりませんし、悪い奴に唆され、自分はペットとして扱われているんじゃないかと、過保護すぎて1人の人間として見られていないのではないかと不安になってしまうのは仕方なかったと思います。

リオンに関しては、オリヴィアからは絶対にわからない視点ですが、どうしてもゲームのキャラとして、それも物語に大きく関わる重要キャラのため、過保護になってしまうのはこれも仕方のないことんですよね。

 

でこれ面白いなと思ったのが、過程が全然違うとはいえ1人の人間として見られていないという本質的な点は一致しているんですよね。理由は絶対に交わりませんけど。

オリヴィアの「私は1人の人間です!!」という訴えはめちゃくちゃ刺さりましたし悪気はなくても人として向き合えていなかったというリオンの失敗の本質的な点が視聴者にじわじわ伝わるので、いい意味で重い展開に仕上がっていたのが素晴らしいです。

構造上確かにこうなるだろうし失敗しても仕方ないように見えますけど、それゆえに拗れめんどくさいことになってしまうのは、ゲームの世界である点を上手く活かしているように感じました。

リオンが主人公として魅力があると感じたのは、こういった失敗もする不完全さと、それに対する説得力があるところなのかもしれませんね。

 

 

ただリオンが過保護にしすぎたせいでオリヴィアの成長機会を奪ってしまったことは、失敗ではあったけど悪いことばかりではなかったんですよ。

オリヴィアはゲームでは主人公でしたから、本来は自身のステータスupに加え、攻略対象との恋愛やイベントにもリソースも割かなければいけなかったのが、リオンのおかげで勉学に専念し魔法の才能を開花させるという、リオンのやってきたことがちょっと報われる展開が良かったです。

これもゲームを舞台にした異世界という設定を活かして上手いこと着地点を作ったなああという印象で、なんというかこの作品は、Aの出来事があるとBの出来事に影響する。というような論理的な思考がかなりしっかりしている気がしますね。

整合性が取れていると言いますか、物語に起こることそれぞれにちゃんと筋が通っている素晴らしいシナリオだと思います。

 

 

この重い展開の終着点としてオリヴィアの思いを伝えるシーンがほんとに好きで、本来であれば主役達である攻略対象の5バカをそれぞれ一言で切って捨てて、リオンのことが好きだと叫ぶところが凄くいいシーンなのに同時に笑いが止まらない最高の展開でした。

5バカへの評価が簡素かつまとまっていてテンポ良く結構ばっさり切られていて、あの爽快感は中々出せもんじゃないですよ。積み上げが完璧すぎる。

何よりも攻略対象を切り捨てたことによって、もうとっくにゲームのキャラの枠を超えて1人の人間として存在していること、1人の女の子としてあなたのことが好きだとリオンに示すことができたんじゃないかと私は思っているので、途中まで重い展開でしたが「私は1人の人間です!!」の回の完璧な回答になっていて本当に最高だと思います。

 

あんまり上手く言語化できているか微妙ですけど、モブせかはどうしても書き残したかったので今回がっつり書いてみました。

いや正直他にも色々書きたいことありますけどもうまとまり切らないからここまでにしときます。

 

後半はどうせここまで見る奴ほぼいないだろうと思って好き勝手書きましたが、最後まで読んでくださった方がいれば嬉しい限りです。